あかねのお弁当






「乱馬くん。スイカ切ったから、あかね呼んできてね」

風呂上り、茶の間でテレビを見ていた俺に、かすみさんが笑顔でこう言った。

「あれ?そういやーあかね、どこいったんだ?」

夕食後、いつもなら茶の間でテレビを見ているあかねがいない。

「あれーっ、どこにいったかねぇ?早乙女くん」
「お風呂じゃないのかね?天道くん」

縁側で先にスイカを食っている親父たちが、のんびりしながら話している。

「あかねなら、さっき自分の部屋にいたわよ?」

かすみおねえちゃん、スイカどこー?といいながらなびきが茶の間に入ってくる。

「へ?めずらしいじゃねーか…。っていうか、知ってるなら呼んできてやれよ。なびき…」
「あら。私は乱馬くんがあかねの部屋に入る口実になるかと思ったんだけど?」

…こいつはこーゆーヤツだよな。

「ほらほら。スイカなくなっちゃうわよ?さっさと呼びに行ったら?」

スイカ片手のなびきに、しっしっと追い払われて、俺は2階のあかねの部屋へ向かう。
っちゅーか、なんで俺なんだよっ。



「あかねー。かすみさんがスイカ切ってくれてるぞーっ」

いつものくせで、声をかけながらあかねの部屋のドアを開ける。

「おいっ…?・・・なんだ、寝てんのかよ」

入ると、机の上に突っ伏してるあかねの姿。
へぇ。めずらしいなぁ。こいつが机の上で居眠りだなんて…。
俺はおもわず気配を消してあかねに近づく。
勉強でもしてたのか???真面目だかんなー。こいつ。
こそっと机の上を覗いてみると…。


…げっ。料理レシピ?!


マジかよ。明日また作るつもりかよ…。
っちゅーか、こいつもこりねぇ女だよなー。


…ん???この付箋、どっかでみたようなー。



んっっ?!



コレ…この間俺が買ってやった弁当のレシピ本じゃねーか。
付箋つけてこいつに渡したんだよなーそういや。
結局その弁当は五寸釘のヤツが食って・・・腹壊してたけどよ。

…ほんっと、こりねー女だよな。
まぁ、そこがこいつのいいトコなんだろうけどさ。

ってことは、明日の弁当はまたあかねの手作りか…。


…ま、しゃーねぇよな。
オレしか食うやついねーもんな。


「ん…っ」
「げっ…っ!」


お…起きたっ?!げげっ…!!!
俺、今気配消してたのに?!

「…あれ?乱馬??どーしたのよ??」
「いやっ…そのっ…スッ…スイカがかすみねーちゃんでっ…」
「はぁ??何言ってんのよ??」
「いやっ…そのっ…」

なんでこんなにあせってんだよ。俺。
っていうより、なんか変なこと口走ってねーだろうなぁっ。

「ちょっとー。あかね?乱馬くん?いいかげん降りてこないと、スイカなくなっちゃうわよ?」

ぎくっとしながらドアのほうを見ると、不敵な笑みしたなびきがいる。
だからっ!なんでなびきがそこにいるんだよっ!

「え?スイカ??…なんだ。乱馬それで呼びにきてくれたんだ?」
「お…おうっ」
「んじゃ、そんなにあせんなくてもいいじゃない。変な乱馬」


首をかしげながら一言つぶやいて、あかねはなびきと1階に下りていく。
そうなんだよなー。そんなあせることねーのによ。
なにあせってんだよ。俺。

ったく…。

だいたい、あいつが俺の買ってやった本を枕に寝るから変な気をおこしたんじゃねーかっ。


…ん?そうじゃなくって…。


「乱馬ー??スイカいらないのー??」
「おーっっ!」


ま、いっか。
明日の弁当の心配より、今はひとまずかすみさんの切ってくれたスイカだよな。


そんなことを考えつつ、俺は軽い足取りで1階へと降りていった。








えーっと…えええーっと…。
初めて「二次創作」と言うものを書いたときのものです。
うわぁ…。
なんか、手を加えだすと全部書き直したくなった(笑)
元ネタは、アニメ熱闘編96話「強敵!五寸釘光登場」です。
この回の乱馬くんが、とってもとっても大好きでv
それまで自分で乱あの話を書こうなんて思ってなかったのに…。気がついたら頭の中でお話を組み立てていました。
でも…これってアニメ見てないとわかんないかも…。す、すみませぇん(汗)


(05/07/23 作成   05/09/09 加筆修正)





戻る