クリスマスプレゼント大作戦




秋の文化祭も終わり、木枯らしが吹き付けるようになった12月。
ここ、風林館高校1年F組では、すっかり気分はクリスマス一色になっていた。


「あかねはもちろん乱馬くんにあげるんでしょ?クリスマスプレゼント」
「そうよねーっ。なんたって許婚だもんねー」


クラスで一番あかねと仲がいい女友達のさゆりとゆかが、あかねの机に集まって話しかける。


「なんであたしが乱馬なんかにあげなきゃなんないのよ。カンケイないもん。あんな変態」
「おい。変態って誰のことだよ。ずん胴」


たまたま学食から戻ってきた乱馬が、あかねのこのセリフに反応して言い返す。


「ずん胴って何よっ!!いきなり話に入ってこないでよねっ」
「うっせーなぁ。大きな声で変態とかゆーから、ついつい聞こえちまったんだろーが。…ったく、相変わらずかわいくねぇなぁ」
「かわいくなくて結構ですよーだっ!!乱馬はもうあっちにいっててよねっ」


いーだっ。といいながら乱馬に向かって舌を出すあかね。
それをみて、ちょっと心もち顔を赤らめながら…。


「なんでぇっ。言われなくたって、お前らの話なんかきかねーやいっ」


とぶつぶつつぶやく乱馬。
そして、そのまま教室を出て行ってしまう。


「ちょっとー。いいの?あかね」
「あんなにキツク言わなくたっていいじゃないの。乱馬くん出て言っちゃったわよ?」


さゆりとゆかが、心配そうに乱馬が出て行った教室のドアをみる。
その様子を見ていたあかねは、あきれたような顔をして「いいのよ」といいながら苦笑いをする。


「どーせ屋上で昼寝でもするつもりなんだから」
「あかねと乱馬くんって、ほんとにケンカが多いわよねー」
「でも、痴話ケンカばっかりだから、やっぱり仲がいい証拠なんだろうけど」
「ちょっと…二人とも…?」


あかねをほったらかしで、うんうんとうなずくゆかとさゆり。


「それは置いといてー。知らないの?あかね」
「そうそう。この風林館高校の言い伝え」
「…え?言い伝え??」


きょとん、とした顔で、あかねは先ほど食後に…と購買で買ってきたポッキーをくわえる。


「なんでも、風林館高校の一年生女子は彼氏に手作りのクリスマスプレゼントをあげると、その彼氏と永遠の愛を約束されるんですって」
「そうそう。だから、あかねの彼氏って…一応乱馬くんじゃない?ってことはー」
「「もちろん乱馬くんに手作りのマフラーでもあげなきゃね〜っ」」


最後は二人声をそろえてあかねに詰め寄るさゆりとゆか。
校内でのうわさや言い伝えは、たいがいこの二人からあかねに伝わることが多いのである。


「なっ…何であたしが乱馬なんかに手作りのマフラーあげなきゃなんないのよっ」
「だぁーって。クリスマスといえば恋人たちの甘い夜!!」 「恋人たちの甘い夜にかかせないのは、彼女お手製のあったかーいマフラーでしょ?」
「…え?」


…そういうもんなのかなぁ。
イマイチわかんないんだけど…。
でも…永遠の愛…かぁ。


「で、早速今日の帰り、毛糸買いに行かない?あかね」
「そうそう。駅前の手芸屋さん、毛糸の種類がすごく豊富だし」
「…そうね。行ってみようかな」


んじゃ、きーまりっ。

ということで、あかねは手作りのマフラーを乱馬にあげることになったのである。




一方、そのころ屋上では…。


「あれー。何してんだよ、乱馬」
「教室に戻ってたんじゃねーのかよ?」


雑誌片手に屋上に上がってきたひろしと大介は、屋上で一人ふてくされて寝転んでいる乱馬を発見する。


「んあ??なんだよ、おめーらこそ」
「え?いやいや、俺たちはちょっとな…」
「そうそう。ちょっと相談ごとをな」


そういいながら、ひろしが手に持ってた雑誌を広げて、二人でなにやらごそごそ相談を始める。


「…なに見てんだ??おい?」


起き上がって二人のほうに近づいてみると…。
二人が一生懸命見ている雑誌の見開きには『これが喜ぶ!女の子が欲しいクリスマスプレゼントベスト5!!』なる文字が…。


「なんでぃ。てめーらクリスマスプレゼントなんか買うのかよ」
「なんだよ。乱馬こそ買わねーのかよ」
「そうだよ。あかねにやらねーのか??」


軽くバカにした乱馬に対して、真面目な顔で詰め寄るひろしと大介。


「へ??なんでおれがあかねに…??」
「あー…やっぱりこいつ知らねぇんだな」
「そうだな。あの言い伝えを」


あかね同様、乱馬にいつも噂話を吹き込むのも、このひろしと大介である。
たいがいくだらない「風林館高校の七不思議」だの「風林館高校に伝わる言い伝え」だのが多いのだが。


「…んだよ。その言い伝えってのは」
「呪いだよ」
「そうそう。代々風林館高校男児にだけかかる呪い」
「はぁ??」


ひろしの隣に座り込み、思わずすっとんきょーな声をだす乱馬。


「知らねーんだ。やっぱ乱馬だよなぁ」
「そっか。んじゃ、ほぉっておくか」


雑誌を閉じて、おもむろに乱馬の前から立ち去ろうとするひろしと大介。
そのひろしの学ランの襟口をつかむ乱馬。


「まてぃ。なんだよ、それ」
「だーかーらー、風林館高校一年男児はクリスマスに好きな女の子にプレゼントを渡さないと、その女の子とは一生結ばれねーの」
「そうそう。んで、乱馬があかねにプレゼント渡さないってことは、あかねがフリーになるじゃん」
「俺たちにもチャンスが」
「ラッキー」


ぬけぬけとそういいながら、互いにガッツポーズを決める二人。


「なんでぃ。ばっかばかしい。カンケイねぇよ。そんなこと」
「ふーん、カンケイねーんだ」
「あかねのこと、そんなに大事にしてねーんだな」
「なっ…!!!おれは別にあかねのことなんかっ!!」


思わず顔を真っ赤にしながら二人に否定する乱馬。
それを見て二人は思わずため息を漏らす。


「めちゃめちゃ気にしてるじゃねーか」
「ほんと、素直じゃねーよな。乱馬って」
「うるせぇよっ!…っつーかさ、そんな呪いあるわけねーじゃねーか」


そんなことないんだぜ。
そうそう、過去に結構コレで別れたカップルとかいるんだからな。
などと、二人は不吉なことを言い残して屋上を去っていった。


「…んなバカな。ってぇことは…プレゼントやらなきゃ、おれとあかねは一生…」


一人残された乱馬は、思わずぼーぜんと立ち尽くしてしまう。



そして後日…。

結局乱馬は悩みに悩んだ末、クリスマス直前になってなびきに5000円の借金をしてしまうことになるのである。








これもOVAオリジナルの「すくらんぶるクリスマス」の話を元にしてます。
…どうやら、このあたりでOAVBOXをゲットして、頭の中がそれ一色になっていたみたいですね(笑)

なんだか終わり方がダメです。
ほんと、私ってヤツは、きちんとオチをつけて終わらせることが苦手です。
書きたかったことは、「すくらんぶるクリスマス」のしょっぱなから、乱あがお互い相手にプレゼントを用意しているけど、なんでか…ってこと。
あかねちゃんはともかく、あの乱馬くんが理由もなしになびき姐さんから借金してまでプレゼントするかなぁ…っていう疑問から発生しました。
で、思いついたのが「風林館高校の言い伝え」(笑)
しかも、男女で伝わり方が違う…(笑)


終わってみると、全然乱あじゃないあたりが…泣ける。
ほんと、このころのお話はまとまりがなくって…。
(って、今書いたらまとまりあるのかよ?というツッコミも…)



(05/07/26 作成   05/09/12 加筆修正)





戻る